霧多布湿原ナショナルトラスト支援25周年
活動を支える車両を寄贈し、「ニュースキンの森」を継続しました
さまざまな動植物の命を育む、自然豊かな霧多布湿原(北海道)。その周辺には民有地が多く、湿原をそのままの姿で残すためには、保全が必要でした。そこでニュースキンは2000年より、民有地を買い取って保全し、未来の子どもたちへ美しい湿原を残していくナショナルトラスト活動を行う、認定NPO法人 霧多布湿原ナショナルトラストへのサポートを続けています。
今年は、皆様の応援により、200万円の支援金が、次の活動に活用されています。
- 支援25周年を記念して、保全・環境教育活動を支える車両を寄贈
- 水源の森をつくるために設けた「霧多布湿原ニュースキンの森」植樹プロジェクトの継続
など
10月には、会員代表の皆様と社員が現地を訪れ、残すべき湿原を肌で感じながら、自然を守るための植樹活動を行ってきました。この美しい湿原を未来へとつなぐ取り組みを、ぜひご覧ください。
基本情報をCHECK
霧多布湿原について
北海道の東、厚岸郡浜中町に位置する霧多布湿原。面積は約3,168ヘクタール、東京都の渋谷区が2つ入るほどの広さを誇り、国内でも5本の指に入る大きさの湿原です。野生動植物が人の生活のすぐそばで生息しているのも特徴です。
霧多布湿原の魅力
- 別名「花の湿原」:平地にありながら、夏にはエゾカンゾウやワタスゲなどの高山植物が一面に咲き乱れる
- 希少な野生動物との出会い:特別天然記念物のタンチョウ、天然記念物のオジロワシ、シマフクロウなどが生息
- 学術的価値の高い、泥炭形成植物群落地:総面積3,168ヘクタールのうち、中心部の約803ヘクタールが、1922年(大正11年)に国の天然記念物に指定
- 国際的な湿地保護地域:水鳥にとって重要な湿地として、1993年「ラムサール条約」登録
- 地域の誇りとしての評価:2001年「北海道遺産」、2021年「厚岸霧多布昆布森国定公園」に指定
- 多様な湿地タイプが共存:学術的にも貴重な環境構成、4つの湿原タイプ(低層湿原・中間湿原・高層湿原・塩湿地)が見られる希少な湿原
Eco story column
ですが、開発によって湿原が破壊されると、蓄積された炭素が大気中に放出され、温暖化を進める可能性があります。湿原の上に広がる森林もまた、炭素を吸収・貯留する重要な存在で、両者は連携して貴重な炭素の貯蔵庫を形成しています。
この自然の仕組みは、私たちの暮らしや産業文化を支える『見えないインフラ』。湿原を守ることは、地球の未来を守ることでもあるのです」
(2025年10月27日開催「Force for Good Learning Session」にて)
霧多布湿原の「まるごとつながる生態系」
森、湿原、海がひとつの生態系となり、豊かな環境をつくりだす霧多布湿原。浜中町で暮らす人々は、自然からの恩恵を受け、農業や漁業、林業といった産業を発展させてきました。
そのつながりを見ていきましょう。
詳しく見る
- POINT1 3つの異なる環境が隣り合う:森、湿原、海が、それぞれ単独で完結せず、互いに交わることで豊かな生態系をつくりだします
- POINT2 川を育む:森からの湧水が川をつくり、湿原をうるおします
- POINT3 湿原の泥炭がミネラルをつくる:湿原に含まれるフルボ酸が鉄分と結合し、川に流れ込むことでミネラル豊富な水が生まれます
- POINT4 栄養が運ばれる:森や湿原の栄養素が川を通じて海へと運ばれます
- POINT5 海の生物の栄養になる:運ばれた栄養がコンブなどの海産資源の栄養となり、海の生態系を豊かにします
- POINT6 霧が発生する:南からの暖かく湿った空気が、千島列島沿いの親潮によって冷やされ、霧が発生します
- POINT7 ミネラルを含んだ海霧のつく牧草を食べる:海霧に含まれるミネラルが牧草に吸収され、それを食べた牛からは質の高い牛乳が搾られます
湿原内に生息する動植物
霧多布湿原ナショナルトラストについて
認定NPO法人 霧多布湿原ナショナルトラストは、「身近な自然を未来の子どもたちへ引き継ぐこと」をミッションに、自然と共生する暮らしや町づくりを目指し、湿原がもつ豊かさや価値を多くの人々に伝えるために活動しています。
History column
1986年には『霧多布湿原ファンクラブ』として活動を拡大し、全国に会報誌を配布。湿原を『家族や恋人、仲間のように』感じてもらえるよう、ファンづくりに力を注ぎました。
その後、保全活動の継続性を考え、1999年にNPO法人化を申請。2000年、『霧多布湿原ナショナルトラスト』として正式に認証され、ナショナルトラストの理念に基づく本格的な保全活動が始まりました」
(2025年10月27日開催「Force for Good Learning Session」にて)
活動の3つの柱
霧多布湿原を保全する
✓ 皆様からお預かりした寄付金も、土地を買い上げる資金源となり、湿原を未来へつなぐための大きな力となっています。
※ナショナルトラスト:19世紀末イギリスで始まった市民運動。みんなで資金や力を出し合って貴重な自然や文化遺産を保全していく活動です。
地域の自然や壊れた湿原を再生する
✓ 水源となる森をつくるための「霧多布湿原ニュースキンの森」植樹プロジェクトも継続中です。
霧多布湿原のファンづくり
✓ 皆様と一緒に寄贈した車両も、湿原保全ボランティアの活動や、子どもたちのキャンプの受け入れなどに、大切に使用されています。
ニュースキンジャパンとの歩み
ニュースキンジャパンはサステナビリティ(持続可能な環境)への取り組みの一環として、2000年より、霧多布湿原ナショナルトラストをサポートしています。霧多布湿原の素晴らしい自然を保護する必要性を感じ、霧多布湿原ナショナルトラストの活動趣旨に賛同し、湿原保全のための活動を継続しています。
2000年 霧多布湿原ナショナルトラストのミッション「身近な自然を未来の子どもたちへ」に賛同し、支援を開始 ※以降継続
2017年 霧多布湿原の森林部の整備と湿原に面した海岸を清掃(会員、社員によるボランティア活動実施)※作業に欠かせない軽トラックやゴミ拾い用トングなどを寄贈
2023年 第1回 霧多布湿原ニュースキンの森 植樹プロジェクト実施
2024年 第2回 霧多布湿原ニュースキンの森 植樹プロジェクト実施
2025年 支援25周年記念車両贈呈、第3回 霧多布湿原ニュースキンの森 植樹プロジェクト、支援25周年記念ワークショップ実施
ニュースキンジャパン2025年度支援についてはこちらをご覧ください。
History column
皆様からお預かりした寄付金は、買い取り保全地が850ヘクタールだった当時、その約4割の土地購入に使われました。
水源の森を未来へ。第3回「霧多布湿原ニュースキンの森」植樹プロジェクトを実施
この植樹プロジェクトは、霧多布湿原の生態系を健全な状態で維持するために欠かせない、「水源の森」をつくるための活動です。今年は、かつて木材の伐採が行われたまま放置されていた土地に、エンジュ、ミズナラ、ヤチダモ、クルミなど、計80本の苗木を植樹しました。
\森を育てるということ。植樹の意義を小川理事長にインタビュー/
「木を植えることで、落ち葉が土壌を豊かにし、雨水に溶けた栄養分が地中に染み込み、やがて湧水となって流れ出す水の循環が生まれます。また、森林が再生することで地盤が安定し、災害の防止にもつながります。伐採されたままの土地は地盤が緩みやすく、災害リスクが高まるといわれています。
さらに、育ちゆく森は多様な生きもののすみかとなり、生態系の回復と維持にも貢献します。このような森の再生は、湿原の保全にも深く関わっており、地域全体の自然環境を支える重要な役割を果たしています」
浜中町・森林室から助っ人が登場
ニュースキンの森には、「森のプロ」3名が駆けつけてくれました。「今日は北海道を代表する広葉樹を植えていただきます。葉はありませんが、春には芽吹きますよ」(梶原さん)、「苗木は、植えたあとの下刈りなど、人の手入れがあってこそ育ちます」(河村さん)、「木を植える体験が、自然の大切さを感じるきっかけになれば嬉しいです」(乙井さん)。それぞれの言葉に、自然と向き合う方々の想いが込められていました。
「森のプロ」たちが、苗木の植え方を丁寧にレクチャーしてくれました。
\荒れた土地で苗木を育てるコツ/
-
① 苗木を植えるための穴を掘る
地面には笹の根がびっしりと張っていて硬いため、スコップの先で根を断ち切るように力を入れて掘ります。苗木の根元に巻かれた麻布がすっぽり収まる深さが目安です。 -
② 苗木を植えて土をかぶせる
掘り出した土の塊には根が絡んでいるため、スコップでよくほぐしてから苗木を穴に入れ、隙間ができないように土をかぶせます。 -
③ 土をしっかり踏み固める
木が風で揺れて根元に隙間ができると、空気が入って根が乾燥してしまいます。しっかりと踏み固めて、苗木を安定させます。最後に、周囲の落ち葉や廃材チップをかぶせておくと、土の乾燥を防ぐ効果があります。また、植えた場所がへこんでいると雨水がたまりやすく、根腐れの原因になるため、平らに整えることも大切です。 -
④ 食害防止のフェンスを設置して完成
シカに食べられやすい苗木には、植えたあとに、人間の背丈ほどのフェンスを設置して、しっかり保護します。
苗木は、1本1本、みんなで力を合わせて
この日、霧多布湿原ナショナルトラストの小川 浩子理事長と、ニュースキンジャパン社長の小林も植樹に参加。参加者と一緒に苗木を丁寧に植えました。
「大きく育って」という想いを込めて
やがて春になって芽を出し、未来の森へと育っていくことを願いながら、参加者全員で心を込めて苗木を植えました。
\花言葉をご紹介!/
エンジュ:花言葉「幸福」。長寿や縁起のよい木として親しまれています。
ミズナラ:花言葉「力」「勇気」。森の生命力を象徴する、どんぐりのなる木です。
ヤチダモ:逆境に強い木。湿原林を代表する樹種のひとつです。
クルミ:花言葉「知恵の神」。知性を象徴する木として知られています。
支援25周年記念 保全活動と環境教育活動を支える「車両」を贈呈
霧多布湿原の保全活動や子どもたちの自然体験学習を支えるため、社名入りの新たな車両を寄贈しました。
湿原を走る、支援のかたち
2000年寄贈:初代軽トラック
湿原保全ボランティアや子どもたちのキャンプ受け入れなど、16年間にわたり大切に使われてきました。地域の活動を静かに支え続けた、縁の下の力持ちです。
2016年寄贈:二代目軽トラック
霧多布湿原ナショナルトラスト30周年の節目に寄贈。2017年に行った会員代表&社員による海岸のゴミ拾いや、今回の植樹活動でも大活躍。支援の象徴として、今も現場で頼れる存在です。
2025年寄贈:三代目軽商用バン
屋根にはカヌーなどを積めるルーフキャリアを備え、湿原の自然体験を支える新たな存在として走り始めました。もちろん、保全活動などにも活用され、幅広く活躍中です。
支援25周年記念 ファンづくりに役立つワークショップを実施
訪れた人を霧多布湿原のファンに誘い、子どもたちが自然に興味をもつことで、美しい湿原を未来へ残していくきっかけとなるよう、2つのワークショップを行いました。ぜひワークショップの様子をご覧ください。
1 大パノラマを望める展望エリアにベンチ&テーブルを設置
木道づくりの際に出たカラマツ材の端材を活用し、ベンチとテーブルを製作しました。成長が早く、経済林としても活用される針葉樹で、座面や枕木には鉄道用と同等サイズのしっかりとした材を使用。地域の恵みと参加者の力が合わさったこのベンチとテーブルには、支援25周年を記念するニュースキンプレートも添えられています。
2 子どもたちが自然に親しむきっかけとなる、ピザ窯用の薪づくり
海岸に流れ着いた流木や廃材を活用し、自然の恵みを無駄なく活かした薪づくりに取り組みました。薪割りにはナタや斧、安全なキンドリングクラッカーも使用。この薪は、きりたっぷ子ども自然クラブのピザづくり体験などに活用され、子どもたちが楽しみながら自然と触れ合う機会を育んでいます。
Photo Gallery
Message from
ボランティア参加者から届いた、霧多布湿原とForce for Goodへの熱いメッセージ
※五十音順
ニュースキンジャパン 2025年度
霧多布湿原ナショナルトラスト支援25周年 200万円を寄付
皆様からの応援により叶った今年の寄付金は、「霧多布湿原ニュースキンの森」での植樹活動や、保全・環境教育活動、資源保全ボランティアを支える車両の寄贈など、多様な活動に役立てられています。
2000年からの累計寄付金額:6,040万円
寄付目録の贈呈式の様子
左から、浜中町副町長 石塚
豊氏、霧多布湿原ナショナルトラスト理事長 小川
浩子氏、ニュースキンジャパン社長 小林 和則。
式典には公務の合間をぬって石塚副町長が駆け付けてくださり、小林から小川理事長へ寄付目録がわたされました。
Message from
浜中町、霧多布湿原の関係者から「ありがとう」
「ニュースキンジャパンによる霧多布湿原ナショナルトラストへのご支援が、本年で25周年という節目を迎えました。長年にわたる継続的なご支援とご活動に、心より感謝申し上げます。自然の保全とは、ただ手を加えずに見守ることではなく、森や湿原を守り育てるために、地道な作業を積み重ねていくことだと感じています。これからも、前向きで持続可能な取り組みを皆様と共に続けていきたいと思っております」
「午前中から植樹やベンチづくりにご参加いただき、精力的に活動していただいたことに敬意を表します。浜中町は漁業と農業を基盤とする第一産業の町であり、自然環境がその基盤を支えています。霧多布湿原ナショナルトラストは、そうした自然と向き合いながら活動を続けておられ、ニュースキンジャパンからの長年にわたるご支援に、町としても深く感謝申し上げます。自然を守るには継続的な取り組みが不可欠です。今後とも、浜中町の自然に心を寄せていただければ幸いです」
Message from
ニュースキンジャパンからも「ありがとう」
「霧多布湿原への支援が四半世紀を迎えられたことを、大変光栄に思っております。この長きにわたる活動を継続できたのは、会員の皆様、霧多布湿原ナショナルトラストの皆様、浜中町の皆様のお力添えがあってこそです。心より感謝申し上げます。
(ボランティア ツアーについて)ニュースキンジャパンでは、現地を訪れ、見て、体験することが理解を深める最良の方法であると考え、『百聞は一見に如かず』の精神で活動を続けてまいりました。今回の活動では、テーブルづくりにも参加させていただき、来週には子どもたちがそのテーブルを使ってくれると伺い、大変うれしく思っております。
私たちは、売上や利益の先にある『世の中をより良くする』という想いを大切にし、霧多布湿原ナショナルトラストの皆様と志を共にしながら、今後もForce for Goodの輪をさらに広げてまいりたいと考えております」
地元の新聞と町のホームページで紹介されました
※PDFは、浜中町の公式ホームページ内でもご覧いただけます。
Special Thanks!
霧多布湿原ナショナルトラストの皆様、ご協力ありがとうございました
事前の準備から当日の運営に至るまでご協力いただいた皆様に、心より感謝申し上げます。皆様の温かなご支援のおかげで、霧多布湿原の保全活動は25年にわたり継続することができました。
「霧多布湿原ニュースキンの森」が豊かに育まれていくことを願うと共に、今回の記念としてお披露目された軽バンが、霧多布湿原の美しさや魅力を広く伝える存在となり、さらに多くのファンを生み出してくれることを楽しみにしています。
ニュースキンジャパンは、これからも霧多布湿原の保全と植樹活動を通じて、自然の恵みを未来へつなぐ力となれるよう、皆様と共に歩み続けてまいります。
One for smilesプロジェクトをご存じですか?
「好きな製品を使って子どもたちを笑顔にしよう」というスローガンの下に始まったプログラムでは、全製品の売り上げ利益の1%がニュースキンジャパン フォース フォー グッド基金に寄付され、霧多布湿原の保全活動をはじめとする取り組みに活用されています。 あなたが大好きなニュースキン製品を使うことが、地球の明るい未来につながっているのです。