マラウイ トリップ リポート2025:ナリッシュ ザ チルドレン(ビタミール)
〜子どもたちの命と未来を支える、食糧支援の現場を視察してきました〜
ナリッシュ ザ チルドレンは、世界中の栄養不良の子どもたちに栄養ある食事を届けることを目的として、米国で2002年、日本では2003年にスタートしました。
これは、世界各地のニュースキン会員のみなさまと社員が、「ビタミール」という栄養価の高い、食糧援助に最適な製品を購入・寄付するプログラムです。
- ・栄養食ビタミールの寄付数は、2024年7月時点で累計8億5,000万食を超えました。
- ・ニュースキンのチャリティ パートナーであるNPO団体のフィード ザ チルドレンを通じて、毎日7万人を超える子どもたちに届けられています。
今も世界では、6秒に1人の子どもが栄養失調などで命を落としているといわれていて、栄養価の高いビタミールは、まだ多くの子どもたちに必要とされています。
私たちはこれからも、みなさまと共にビタミールを届け続け、子どもたちの笑顔あふれる未来を支えていきます。
日本で購入・寄付されたビタミールは、世界最貧国のひとつ、アフリカのマラウイ共和国の工場でつくられ、現地の子どもたちの命を救い、成長を助けています。
マラウイ トリップ リポートSTART
日本のみなさまからのビタミールが
マラウイの子どもたちの笑顔と未来を支えていました
今年7月、会員代表と社員がマラウイを訪れ、ニュースキンと会員のみなさまが力を合わせて続けている支援が、人々の暮らしにもたらす「確かな違い」を肌で感じてきました。少しずつ豊かになっていく現地の様子から、未来へとつながる希望を感じていただければ幸いです。
基本情報をCHECK
マラウイ トリップ概要
日程 | 2025年7月16日〜19日 |
参加者 | 世界各地から総勢42名(うち日本からは12名の会員と社員) |
視察内容 |
1 ナリッシュ ザ チルドレン プログラム(ビタミール)
2 農業教育支援(SAFI) リポートはこちら > |
■マラウイ共和国とはどんな国?
アフリカ南部に位置する内陸国。マラウイでは、5歳以下の子どもたちの2人に1人が栄養不全に陥っていると言われています。さらに、自然災害の頻発や、HIV感染率の高さなど、子どもたちは生まれたときから多くの困難を背負っています。

■数字で見る、マラウイの子どもたちの貧困

*1健康な成長のために、主食、豆、乳製品、肉、野菜、果物、卵、油脂の8種類が推奨されています。
*2栄養不足、繰り返す感染症、心理的刺激の不足などにより、子どもが成長や発達に障害が生じる状態を指します。
*3 教育、医療、衛生などの基本的なサービスを十分に受けられない状態を指します。
ナリッシュ ザ チルドレンの歩みと広がり
2002年6月米国でスタート
2003年日本でスタート
2004年マダリッツォ ビタミール工場設立
2024年7月ビタミール寄付 累計8億5,000万食を達成
そもそも、ビタミールって何?

ビタミールは、ファーマネックスの研究チームが小児栄養学の世界的権威と共同開発した、栄養不良の子どもたちの栄養状態を改善するうえで理想的な栄養食です。必須ビタミンやミネラルを含み、炭水化物やタンパク質、脂肪、食物繊維をバランスよく配合し、1袋(2kg)は5歳未満の小児で30食分に相当します。
ビタミールの食糧支援は、栄養、教育、雇用も届けています
■飢えを満たすだけでなく栄養を届ける
重要な栄養素を摂取できない状況に置かれた子どもたちは栄養不良となり、脳や骨、免疫系の発達が妨げられてしまいます。そんな子どもたちを救うため、ファーマネックスの研究チームがビタミールを開発しました。栄養不良の子どもたちの成長を助けるために必要な栄養素がバランスよく配合されています。
■子どもたちの教育を支える
多くの家庭では、子どもたち(特に女の子)に家の手伝いをさせており、日々の食事もままならないほどです。しかし、ビタミールを学校給食として無料で提供したところ、親は子どもたちを学校へ行かせるようになり、結果として教育支援にもつながっています。
■雇用を生み出すビタミールの製造
ビタミールはマラウイの工場で製造されます。原料には現地の農作物を使用するため、ビタミールの製造は全体で400人の雇用を生み出しています。工場を建設したことで、輸送費の削減につながるだけでなく、現地経済の活性化に貢献しています。
ナポレオン ゾンベ氏について

SAFI理事長
飢饉(ききん)の際に私財を投じて人々を救ったマラウイの英雄。ニュースキンとのパートナーシップは2003年に始まりました。本当に支援を必要とする子どもにビタミールを優先的に届けるための仕組みづくりに尽力いただいたことが、協力のきっかけとなりました。その後も、マラウイの人々が自立できるよう、ビタミール工場の建設や、SAFI理事長による活動などを通じて、ニュースキンの社会貢献活動を支えてくださっています。
1958年、アフリカ マラウイ共和国生まれ。1990年代に、国際的なマラウイ救済活動 「マラウイ・プロジェクト」に参画。2000年、「ブレッシング病院」 を設立。2009年度「ネイション アチーバー賞(マラウイ全国偉業達成者賞)」受賞。
父の背中が教えてくれた、助け合いの心
ゾンべ氏は、農家の8人兄弟として生まれ、トウモロコシやタバコの栽培から運送業を立ち上げ、実業家として成功を収めました。人々を助ける活動に取り組むようになった背景には、父親の影響が大きくあります。父は自給自足の農家で、裕福ではありませんでしたが、自宅にある食糧を周囲の人々に分け与えていました。そのような「人を助ける」家庭環境で育ったゾンべ氏にとって、支援することは自然な習慣となり、現在のように人々の自立を支援する活動へとつながっています。
リポート1
ビタミール工場を見学


マラウイの首都リロングウェ近郊にあるマダリッツォ ビタミール工場を訪れました。工場スタッフはヘアキャップやマスクを着用し、マラウイではまだ十分に普及していない衛生管理が徹底されていました。機械は現地でメンテナンスができることを第一に考えて加工するなど、優れた発想に基づく工夫が随所に見られました。
検査工程はすべて手作業で丁寧に行われ、製造されたビタミールは入念な検査のあと袋詰めされます。工場スタッフの仕事に対する責任感と熱意も強く伝わってきました。製造現場を見学することで、ビタミールが単なる栄養支援にとどまらず、現地の雇用創出や経済的自立にもつながる取り組みであることを実感しました。
ビタミールができあがるまで

①原材料の洗浄・乾燥:トウモロコシと大豆を丁寧に洗浄して乾燥させます。

②粉砕・比率調整:原料を機械で粉砕し、粒の大きさを均一に整えます。トウモロコシと大豆を適切な比率で混合することで、のちの工程において栄養素が均等に分散しやすくなるそうです。

③ビタミン・ミネラルの配合:大型ミキサーでしっかり混ぜ合わせます。

④計量・密封:1袋(30食分)ずつに分けます。異物の混入がないかを確認し、ラベル表示や賞味期限の記載にも不備がないか丁寧に検査を行う大切なステップです。

⑤倉庫保管・配送:ビタミールは厳格な衛生管理体制のもとで倉庫に保管され、安全性と品質を維持します。この倉庫から、定期的にCBCC(地域密着型チャイルド ケア センター)へ配送されます。

ビタミールを試食させてもらいました
ビタミールは、濃厚でとろっとしたオートミールのような食感です。
シンプルな甘さで食べやすく、子どもたちが毎日安心して栄養を摂れる工夫を実感しました。
リポート2
ビタミールを届けている施設「CBCC」を訪問

ムポンジェ村にある、孤児をはじめとする貧困層の子どもたちをサポートする施設、CBCC(地域密着型チャイルド ケア センター)を訪れました。ここではビタミールを給食として無料で配っています。学業よりも家の手伝いを優先せざるを得なかった家庭の子どもたちも、この給食をきっかけに登校できるようになったと聞きました。みなさまが購入・寄付してくださるビタミールが、教育の支援にも役立っていることを実感しました。

キッチン。壁にはニュースキンの名前と共に、衛生意識の向上を呼びかけるメッセージも。
今回はビタミールをつくるキッチンやいくつかのクラスを見学しました。3~4歳クラスでは外部の訪問者に慣れず、大泣きする子どもも多く見られましたが、5~6歳クラスでは元気に文字や発音を学び、歌を歌う姿が印象的でした。また、ボランティアや保育者が一人ひとりに目を配り、給食の前には手を洗う習慣を教えるなど、健康・安全に関する知識も教えていました。
CBCC(地域密着型チャイルド ケア センター)とは
マラウイの多くの村には、CBCCと呼ばれる地域密着型チャイルド ケア センター(正式名称:コミュニティ ベース チャイルド ケア センター)が設置されていて、孤児をはじめとする貧困層の子どもたちを地域全体で支えています。地域主導で運営されるCBCCは、保育・教育・栄養を支援する場として、全国に1,800ヵ所以上あり、約50万人の子どもたちが利用しています。子どもたちは、読み書きや数の基礎、社会性などを学びながら、地域のボランティアや保育者による安全な環境の中で過ごしています。また、給食として提供されるビタミールは、栄養不良の予防・改善にも大きく貢献しています。
ビタミールの給食タイムに密着

① ビタミールの調理:粉末を水で溶き、中火で約30分間、かき混ぜながら煮込みます。

② お皿への盛り付け:とろみ状になったら、1皿ずつ盛り付けます。

③ 子どもたちの準備:順番に手を洗い、シートの上に集まって食事の時間を待ちます。

④ 配膳:スタッフやボランティアがリレー形式で、子どもたちの手元までビタミールを届けます。

⑤ 食事:自分でスプーンを使って食べる子もいれば、大人がスプーンで食べさせる幼い子もいます。みんなが笑顔でビタミールを食べています。
1杯のビタミールが笑顔を生む、その瞬間に出会いました


ビタミールを食べるそのときは、まさにワクワクの瞬間のようでした。子どもたちの笑い声や歌声に包まれながら、一生懸命にビタミールを食べる姿が胸に残っています。最初はスプーンで食べていた子が、最後には指で味わう姿を見ている中で、このビタミールが、今日の唯一の食事かもしれないという現実に胸が痛みました。温かい食事と笑顔に触れながら、栄養と安心が夢を育む力になることを強く感じながらも、世界中の飢餓に苦しむ子どもたちのために、自分にできることを考えずにはいられない瞬間となりました。
今回、ビタミールの配膳をサポートし、支援を必要としている子どもたち一人ひとりに確かに届いていることを実感しました。
リポート3
ビタミールを届けている孤児院を訪問

マダリッツォのビタミール工場から徒歩5分、工場の敷地内にあるムテンダレ孤児院を視察しました。孤児院の名前「ムテンダレ(Mtendere)」はチェワ語で「平和」を意味するそうです。乳幼児から10代まで、幅広い年齢の子どもたちが家族のような温かい雰囲気の中で暮らしていました。
訪問中、歌の得意な男の子が美しい歌声を披露してくれ、その澄んだ声に胸を打たれました。また、「将来はジャーナリストになりたい」と夢を語る子どもとの触れ合いもあり、心に深く残る、忘れがたい光景となりました。 そしてなにより、子どもたちがビタミールの支援を受け、元気に成長している姿が印象的でした。
日本からのプレゼントを受け取り、みんなが笑顔に


メッセージ入りの絵葉書やシール、ロゴ入りのエコバッグなど、子どもたちの異文化体験につながるお土産を手にして目を輝かせる子どもたち(左)。
プレゼントされたサッカーボールにはしゃぎ、日本の参加メンバーと一緒にサッカーを楽しむシーンも(右)。
ビタミールを食べて笑顔になった子どもたちから、たくさんの「ありがとう」をもらいました

CBCCと孤児院を訪問した際には、子どもたちから思いがけないサプライズを受けました。色鉛筆で描かれたかわいい絵や心のこもった感謝のメッセージに触れ、胸がいっぱいになりました。みなさまの支援が、このようにたくさんの笑顔につながっていることを、ぜひ受け取ってください。


みなさまの支援のおかげで、飢えや栄養不良に苦しむ子どもたちに届けたビタミールの数は、累計で8億5,000万食を超えました(2024年7月時点)。栄養を届けることで子どもたちの学びを支え、地域に雇用を生み出すなど、社会全体に希望と笑顔の輪を広げています。
この成果は、みなさま一人ひとりの思いやりの結晶です。本当にありがとうございます。あなたの支援が、確かに世界を変えています。

マラウイ トリップ参加者からのメッセージ
※五十音順

池尻 公也さん
マラウイで、ビタミールを通じて栄養が子どもたちの体に届いている様子を目にしました。元気な体つきや笑顔から、支援が確実に成果を生んでいることを実感できました。ビタミールの寄付は一度きりではなく、継続することで子どもたちの生活や健康を支える意義があると感じています。現地での体験を通じて、ビタミールの支援の仕組みや価値を日本でも伝え、多くの人に理解してもらえるよう共有していきたいと思います。

馬越 雅也さん
マラウイで実際に子どもたちや村の人の生活を目にし、ビタミールが子どもたちの健康と笑顔を支えていることを肌で感じ、深く感動しました。CBCCやフィード ザ チルドレンとの連携により、継続的な提供が子どもたちの健康を支え、学びの機会を守る重要な仕組みであることを実感しました。単なる寄付ではなく、日々の継続的なサポートが現地の子どもたちの未来につながるのだと痛感しています。現地で体感した価値を日本でも伝えながら、ビタミールの支援が1袋でも多く、継続的に届けられることで、子どもたちの笑顔と希望の輪が広がっていくことを願っています。

松本 真理さん
マラウイで、子どもたちの笑顔や目の輝きを直接見たとき、胸が熱くなりました。孤児院に持っていくプレゼントを選ぶ際は、髪飾りやシールなど、子どもたちがどんな風に喜ぶかを想像しながら一つ一つ丁寧に選びました。今回は現地に行かなかったものの、マラウイの子どもたちの笑顔につなげたいという想いを共有する方々と共に準備して、より多く届けられるよう工夫して運びました。さらに、ビタミールを通じて、飢えに直面する子どもたちが命を守られ、学びの場で希望を育む姿を目の当たりにし、支援の力を実感しました。多くの方々の支援によってビタミールの配布が実現し、現地で子どもたちの未来を支える具体的な仕組みになっていることも理解できました。日本に戻った今、この体験を伝え、1袋のビタミールの価値や支援の意義を広く伝えていきたいと強く思います。

松本 ゆかりさん
マラウイで出会った子どもたちの目の輝きや、ビタミールを最初はスプーンで、最後は手で余すことなく食べる姿から、栄養が命を支えている現実に触れました。一日一食しか摂れない中でも、ビタミールが届くことで満たされ、健やかに成長していく様子に、支援の意義をあらためて認識しました。また、歯ブラシや文房具などのプレゼントを届けたとき、子どもたちが全身で「ありがとう」と喜びを伝えてくれる姿の純粋さに心を打たれました。ビタミールは素朴な味ながら、子どもたちが楽しそうに食べる姿と重ね合わせることで、その価値の深さにも気づかされました。日本に戻った今、この体験を伝え、ビタミール寄付の意義や現地の状況を広く共有し、支援の輪をさらに広げていきたいと考えています。
日本がビタミールを届けているマラウイは、世界最貧国のひとつです。深刻な食糧難は、子どもたちの成長にも影響を及ぼしていて、日々の食事で推奨される5つの食物群すべてを摂取できていない子どもは76%*に上ります。そんな子どもたちのために、初めての方はまずビタミールを1袋から。いつも寄付してくださる方は、もう1袋追加していただけませんか。
その1食が、子どもたちの未来をつくります。継続的なサポートが、健やかな成長と明るい未来につながります。
*出典:UNICEF Malawi 2024 Annual Report